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◆PTCAの限界を超えるニューデバイス
虚血性心疾患の治療において、バルーン拡張によるPTCAは1977年にグルンチッヒにより導入されて以来、現在広く普及しています。バルーン拡張によるPTCAには、いくつかの問題点が残されていました。それは再狭窄、急性冠閉塞、バルーン不適病変、の3つの問題点にまとめられます。再狭窄とは拡張した部分が施行3〜6ヶ月後に再び狭窄をきたすものです。急性冠閉塞とは、狭窄部分を拡張した直後に逆に病変部の閉塞をひきおこしてしまうことです。これは急性心筋梗塞という重大な合併症にもつながる問題です。バルーン不適病変は、病変の形態により拡張が不可能であったり、経験によりたとえ行っても良い結果が期待できないものです。この3つがバルーン拡張によるPTCAの問題点でしたが、これらの問題点を克服する目的で様々な新しい道具、ニューデバイスが登場してきました。

■ニューデバイスの分類
ニューデバイスとは、従来のバルーン拡張によるPTCAに対して新しい冠動脈治療を行う道具という意味です。この原理は以下の2つに大別されます。それは、冠動脈を内側から支える道具と、冠動脈硬化組織を血管内から除去する道具です。冠動脈を支える道具は、ステントと言われ、編み目、構造や材質の違いにより数多く開発されています。動脈硬化組織を切除、除去する方法としては、DCA(ディーシーエイとそのまま発音)とロータブレーターが存在します。以下に順次、紹介しましょう。
●ステント
ステントは、血管の内側を筒状の金網で支える方法です。ステントは金属(ステンレス)のチューブに切り込みが入っており、これが拡張されることで金網状になります。材質やデザインの違いにより何十種類も開発されています。ステントを用いることにより、再狭窄を減らすことができることは医学的に証明されています。写真は一例としてテルモステントを示しました。

 
●DCA
DCAはカテーテルの先端にハウジングがあり、この中にカッターが収納されています。ハウジングにはウィンドーが開いており、対側にはバルーンがあります。このバルーンを拡張させることによりウィンドーが動脈硬化組織に押しつけられます。ここでカッターを前進させることにより動脈硬化組織の切除を行う方法です。器具が硬く太いこと、術者の技量により結果に差異があること、十分な径を得ようと削りすぎると血管に穴があく危険があるなどDCAには難しい面もあります。しかし、やや専門的になりますが、左主幹部にかかる左前下行枝の付け根の狭窄などに対しては、DCAは良い適応です。

●ロータブレーター
ロータブレーターは先端部分が高速度で回転し、動脈硬化組織をやすりのように削り取っていくものです。この先端部は正常血管壁には損傷を与えず硬い病変部のみを削るようにできています。バルーン拡張を含めた多くの方法が石灰化を伴う硬い病変に対しては効果がないのに対して、ロータブレーターは高度に石灰化した病変に対しても有効であるのが最大の特徴です。しかし、ロータブレーターはやや再狭窄率が高いという問題点もあります

●Lesion Specific Approach
冠動脈に対するカテーテル治療としてバルーン拡張によるPTCAしか存在しなかった時代にくらべて、現在は狭窄の形態や性状によっていろいろな治療方法を選択できるようになっています。いくつかの道具のうちから、患者さん個々の冠動脈の狭窄形態に応じて最も適した道具を選択することをLesion Specific Approachと呼んでいます。これは、病変に応じた治療法の選択という意味です。またデバイスも1つのみではなく、いくつかを組み合わせて治療することもあります。例えばまずロータブレーターで血管内の石灰化組織を除去し、次いで内腔を確保するためにステントを用いるなどの方法です。 PTCAを施行する医師には、現在の医学的データや自らの経験に基づき患者に応じて最善の治療方法を選択することが求められます。

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