心臓病では薬物療法(薬を飲むこと)が治療の中で大切です。循環器系の薬物について、どの薬が、どんな目的で使われるのか簡単に説明します。各患者さんで、その目的が異なる場合もあります。また副作用についても各薬剤により異なりますので、詳しくは担当の医師、薬剤師に直接お確かめください。
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強心薬
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心臓の収縮力を改善し、心臓のポンプとして血液を送り出す力を増す薬です。昔からある薬であるジギタリス製剤と、最近登場したカテコラミン製剤などがあります。使用する疾患は心不全です。心不全とは心臓の働きが弱くなり血液を十分に送り出せなくなっている状態です。心不全になると息苦しさ、呼吸困難、むくみ(浮腫)が出現します。これらの症状を改善するために強心剤を用います。またジギタリス製剤は不整脈(心房細動)に伴う脈拍数の増加を抑える効果があるので、心房細動の治療にも用いられます。
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代表的薬物名
ジゴシン、ラニラピッド、カルグート、タナドーパ
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利尿薬
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腎臓に働きかけ水分の排泄を促す薬です。具体的にはナトリウムの排泄を促すことにより尿の量が増える薬です。尿が良く出て身体の水分量が減ると心臓の負担も減り、心臓が楽に働けるようになります。心不全に由来する浮腫を改善します。内服後に尿量が増えトイレに行く回数が増えます。外出などで不安があるときには、時間を帰宅後にずらしても結構です。
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代表的薬物名
ラシックス、フルイトラン、ダイアート、アルダクトンA
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硝酸薬
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冠動脈を拡張させ、スパスムを解除し心筋への血流を改善させ心筋への酸素と栄養の供給を増す薬物です。静脈の拡張により全身から心臓に戻ってくる血液を減らし心臓の負担を軽減させる働きもあります。その代表がニトログリセリンです。狭心症の胸痛発作の時に舌下すると即効性があります。硝酸イソソルビド(ISDN)は長時間作用するようにした硝酸薬です。また、テープ製剤で皮膚の上に湿布のように貼り、皮膚から吸収されるようにした薬剤もあります。これらの薬物には副作用として頭痛がしばしば認められますが、しばらく内服を続けると感じなくなることが普通です。ニトログリセリンはダイナマイトの原料ですが、これが爆発することは絶対にありません。
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代表的薬物名
フランドル、ニトロール、アイトロール、ニトログリセリン、ニトロダームテープ、フランドルテープS、ミリスロールテープ
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ACE阻害薬
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身体の中に血圧を高くするホルモンが自然に備わっています。この仕組みをレニン・アンギオテンシン系といいます。この働きを抑制して血圧を下げる働きを持つのがACE阻害薬です。全身の血管を拡張させることにより心臓の負担を軽減させるので心不全にも有効です。この心不全にたいする効果は数多く証明されています。しかし、副作用として咳がでることがあります。なかには内服を中止しなければならない場合もあります。腎臓の働きの悪い患者さんは使用に注意が必要です。
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代表的薬物名
レニベース、カプトリル、タナトリル、エースコール、インヒベース、チバセン
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アンジオテンシンU受容体阻害薬
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ACE阻害薬と同じようにレニン・アンギオテンシン系に作用する降圧剤です。アンジオテンシンUというホルモンの働きを抑えることによって、高血圧症の人の血圧を下げます。人間の体内でつくられるアンジオテンシンUというホルモンは、血圧を上昇させる作用があります。アンジオテンシンUは、血管壁にある受容体に結合することでその作用(血圧上昇)があらわれます。この薬はアンジオテンシンUが受容体に結合しないようにすることで血圧を下げます。ACE阻害薬の場合、人によって空咳が続いたりする副作用が見られ困ることがあります。しかし、アンジオテンシンU受容体阻害薬では改善されています。
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代表的薬物名
ディオバン、ブロプレス、ニューロタン
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カルシウム拮抗薬
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心筋や血管の収縮に関与するカルシウムの働きを抑える作用のある薬です。血管を拡張させ血圧を低下させます。心臓の負担を減らし冠動脈も拡張させるので狭心症にも有効です。とくに冠動脈のスパスム(攣宿)による狭心症には有効です。カルシウム拮抗薬は刺激伝導系にも作用し抗不整脈薬として用いられることもあります。重大な副作用がすくないこともあって高血圧症に対する降圧剤としては頻用されています。副作用として顔面紅潮、頭痛などがあります。
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代表的薬物名
アダラート、ノルバスク、アムロジン、コニール、ニバジール、ペルジピン、ヘル ベッサー、ワソラン
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ベータ遮断薬
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心臓の活動を盛んにする神経を交感神経のベータ作用といいます。この働きを低下させることにより、心臓の仕事量を軽くする薬です。具体的には脈拍数を減らす薬です。動しても脈拍数が増えにくいので狭心症の発作をおこりにくくします。冠動脈の動脈硬化による労作性狭心症には効果が期待できますが、スパスムによる狭心症には逆に悪化させることもあります。不整脈も抑制する効果もあります。効果も強い薬ですが、心臓の働きを抑制しすぎて心不全が誘発されることもあります。一方で心不全に対してもベータ遮断薬が有効な場合もあります。またベータ遮断薬は気管支喘息を悪化させます。ですから診断をはっきりとつけて慎重に投与する必要があります。
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代表的薬物名
インデラル、カルビスケン、テノーミン、セロケン、アーチスト
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アルファ遮断薬
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全身の血管を収縮させ血圧を保つための交感神経をアルファ作用といいます。このアルファ受容体を遮断することにより血管平滑筋の緊張を解き血圧を下げる働きをもちます。コレステロール、中性脂肪を低下させる望ましい作用もあわせもちます。しかし特徴的な注意しなければならない副作用として起立性低血圧があります。起立性低血圧とは血圧が下がりすぎて立ちあがった時にフラフラしたり、極端な場合には意識消失をしてしまうことです。投与開始時には少量から始め少しづつ増量してゆくのが普通です。前立腺肥大による排尿障害にも効果がみられるので泌尿器科の医師も用いる薬剤です。
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抗不整脈薬
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不整脈、つまり脈の乱れを抑える薬です。不整脈を止める効果と予防する効果の両方をもっています。不整脈にも数多くの種類、分類があります。患者さんが持つ不整脈がどのようなタイプの不整脈なのか診断をしっかりつけることが重要です。不整脈の薬は正しく用いなければ逆に不整脈を増加、悪化させる場合もあります。薬物を選択し投与するのは循環器専門医のもとで開始することをお勧めします。
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代表的薬物名
アミサリン、リスモダン、サンリズム、メキシチール、プロノン、シベノール、アンカロン
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抗血小板薬
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血液の成分の一つに血小板があります。これは怪我をしたりして出血したときに集まってきて(凝集といいます)血栓と呼ばれる血液の固まりをつくり止血する働きをしています。抗血小板薬は血小板の凝集を抑制することにより血栓ができるのを防ぐ作用があります。わかり易くいえば血液をサラサラにして固まりにくくする薬です。心筋梗塞や脳梗塞は血管のなかで血液の固まりができることが原因です。抗血小板薬は梗塞を予防する作用があります。副作用として薬の作用上、出血しやすくなる可能性があります。
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代表的薬物名
バイアスピリン、パナルジン、プレタール
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抗凝固薬
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血液を固まりにくくして血栓ができるのを防ぎます。血液の凝固因子に作用し血液凝固そのもを抑制します。心臓弁膜症などで弁置換手術などを受けた患者さんは人工弁血栓形成抑制のために内服する必要があります。歯を抜いたり出血を伴う処置を受ける時には事前から一時中止する必要があります。
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