|
心臓病を診断するための検査には以下に示すようなものがあります。しかし次々と多くの検査をすればよいというものではありません。医師が必要により最低限の検査を行い最短で診断に至ることが大切です。検査は非侵襲的な検査と侵襲的な検査に分かれます。非侵襲的な検査とは、身体に直接針を刺したりしない負担の少ない検査です。侵襲的な検査とは、検査のために身体に直接針を刺したり、身体の中に管を入れたりするもので負担も大きく検査に伴う危険も全くないわけではありません。検査を行う際にはまず非侵襲的な検査を行い、そこで異常があった場合に必要によりさらに侵襲的な検査を行うという流れが一般的です。
■問診医師が患者さんにいろいろと質問をし話をしながら診断を推定することです。診察の最も基本です。心臓病の場合には特に問診が重要で、問診によりかなりの診断がつくといわれています。
■聴診聴診器を当てて心臓の音や肺の呼吸音を聞きます。費用もかからず簡便にできるうえに診断価値の非常に大きいものです。最近は聴診器による基本的な診察をおろそかにする若い医師が増えているといわれていますが、基本であることには変わりはありません。
■血圧測定高血圧は心臓病の大きい原因のひとつです。血圧を正しく測定することによって心臓の状態や治療をしている薬物の効果を判定します。
■心電図検査心電図は、心臓の検査のなかで最も代表的なものです。心房の電気的な興奮を示すP波、心室の電気的な興奮を示すQRS波、心室の電気的興奮が回復するときに生じるT波からなっています。心臓に異常があるとこの波形が崩れ、それぞれの病気に特有の崩れ方がわかっていますから、この心電図をみることにより心臓の病気の種類と異常の程度を推定することができます。心電図検査は非侵襲的な検査で身体に対する負担はありません。身体にたくさんの電極を付けるので心配に思われるかもしれませんが、感電をしたり痛みを感じることはありません。大変安全な検査です。また簡便な検査ではありますが、情報量も多い検査です。
■運動負荷心電図検査身体に心電図の電極を取りつけたままの状態で、運動をしてもらい心臓に負担がかかった状態での心電図を調べる検査です。この運動負荷心電図検査は、狭心症などの虚血性心疾患の診断に非常に有用です。狭心症をもつ患者さんでも胸痛のない時の心電図は正常であることがほとんどです。しかし心臓に負担をかけて心電図をとると狭心症の患者さん特有の変化があります。これにより狭心症など虚血性心疾患の診断が適切にできます。運動負荷の代表的な方法はトレッドミルテストと呼ばれベルトコンベヤーの上を運動してもらうものです。
心エコー図検査とは胸壁より体の中に向けて超音波を発信し、心臓のいろいろな部分にあたって跳ね返ってきた超音波を機械でとらえ、それを画面上に画像として映し出したものです。心臓の構造だけでなく、今ではドップラーエコーと呼ばれ心臓中の血液の流れの状態まで見ることができます。非侵襲的な検査で身体に対する苦痛や負担はありません。この心エコー図検査はほとんどの患者さんにおいてとても有効です。心臓の機能の状態を調べ診断に有効なだけでなく、治療効果の判定にも有効です。
■胸部X線検査いわゆる胸の写真です。撮影した写真から、心臓の大きさや形、また肺の状態を調べます。心臓が悪くなると普通は心臓は大きくなります。心不全という状態になると肺に水がたまり肺の部分が写真上白くなります。これを肺うっ血といいます。
■心臓カテーテル検査心臓病の検査のなかで最も診断をはっきりとつける力のある検査方法です。足の付け根の股の部分や、腕のひじの部分、手首の部分の動脈または静脈を刺し、そこから血管の中を通して非常に細いチューブを心臓まで挿入する検査です。この細いチューブのことをカテーテルと呼びます。心臓までこのカテーテルを挿入し心臓のいろいろな部分の圧力を測定したり、造影検査をして心臓の動きを調べます。次に述べる冠動脈造影検査も心臓カテーテル検査の一部です。心臓カテーテル検査は侵襲的な検査の代表的なものです。ですから運動負荷心電図やその他の検査で異常がある場合に、さらに詳しく検査を行うために実施する検査です。普通は入院してこの検査を行います。病院によっては外来で行っている場合もあります。カテーテルなどの器具も進歩し、技術も進歩していますので安全な検査となっていますが、侵襲的な検査であり全く身体に対して負担や合併症がないわけではありません。したがってこの検査を行うためには、その検査を必要とするだけの理由が必要です。
■冠動脈造影検査心臓カテーテル検査の一種で、挿入したカテーテルの先端を冠動脈という心筋を養っている血管の入り口まで進めます。そしてカテーテルの先端から造影剤と呼ばれる写真に写る液体を冠動脈の中に流し映画に撮影します。冠動脈の内腔の状態がどのようになっているかを調べる検査です。狭心症では冠動脈に狭窄があり、心筋梗塞では閉塞している場所がわかります。冠動脈の動脈硬化が原因の虚血性心疾患では、このように冠動脈造影検査が有用です。この検査の結果でバイパス手術やカテーテル手術などの治療方 針を立てます。
■心臓核医学検査放射性同位元素を用いる検査です。塩化タリウムを用いた心筋シンチグラム検査が代表です。塩化タリウムが正常の心筋に良く取り込まれることを利用して、心筋の正常部分と虚血部、心筋梗塞部を区別して判定することができます。PTCA(風船療法)やバイパス手術をする必要があるか否かを判断するのに有用です。患者さん自身に侵襲は、ほとんどありません。放射性同位元素と聞くと被曝を心配されるかもしれませんが、その量は通常の胸部X線写真を撮るのと同等で問題になることはありません。この塩化タリウムを用いた心筋シンチグラム検査の結果をコンピュータを用いて処理し立体的に判定する方法をスペクトと呼びます。小倉記念病院ではそのスペクトを導入しています。
■CT、MRIX線を用いて身体の断層写真を撮影するのがCTです。心臓疾患では心臓の中に血栓と呼ばれる血液の固まりがないかを調べるのに用います。また、大動脈瘤や解離性大動脈瘤(急性大動脈解離)の診断にはCTがとても役にたちます。大きな輪の中に身体を通して写真をとります。患者さんには侵襲の少ない検査です。MRIはCTに似ていますがX線ではなく体内の水素原子を磁気振動でとらえ、これをコンピュータで処理して表示します。輪切りの写真だけでなく縦切りの写真なども自由に表示できます。これも大動脈瘤や解離性大動脈瘤の診断に有用です。検査に強い磁石を用いますので体内式ペースメーカーの入っている患者さんには施行できません。心臓の血管を治療するためにステントと呼ばれる筒状の金網を植え込まれている患者さんが最近多くいます。このステントが入っていてもMRIには通常問題はありません。しかし検査の前にはステントが植え込まれていることを伝えるようにしましょう。 |
|
一般向けHOME
|