冠動脈バイパス手術に「OPCAB」が普及

OPCAB とは
冠動脈バイパス手術は狭くなった動脈を飛び越して血液に流れる道をつける方法ですが、ここ数年、心臓を停止しないで手術するOPCABが普及してきました。OPCAB(Off Pump Coronary Artery Bypass)とは人工心肺を使用しないで心拍動下に施行する冠動脈バイパス手術で吸盤のあるスタビライザーという装置で心臓の手術部位の動きを抑えて切開や縫合を行います。病態によっては現在も人工心肺を用いて手術を行う場合もありますが、2000年には93%の患者さんがOPCABで治療を受けています。

写真:スタビライザーを用いてOPCAB手術中(この手術をうけた患者さまは元気に退院されています。この患者さまの了解を得て写真を掲載させてもらいました)
写真:スタビライザーの全体と先端の写真です。心臓全体は拍動していても、スタビライザーの先端にある2本のフォークの間だけは動きが止まります。この間に冠動脈の吻合部がくるようにして手術します。

OPCABにより早期離床、早期退院が可能に
OPCABにより人工心肺を使用せずに済むので手術時間も短く、術後の回復までの期間が短縮しました。このため早期離床、早期退院が可能になっています。最近はOPCABを受ける患者さんにはクリニカルパスを作成しています。入院時に患者さんにクリニカルパスを用いて説明させてもらっています。患者さんには、入院中の見込みや予定が立てやすいと好評です。

積極的に動脈グラフトを使用
冠動脈バイパス手術では、本来自分の身体に備わった血管を用いて回り道を作ります。この血管をグラフトと呼びます。かつては下肢から静脈をはずして用いていました(大伏在静脈)。この場合には長期的に(5年から10年たつと)問題があることがわかって来ました。静脈グラフトが傷んで狭くなったり詰まったりする場合があるのです。最近では内胸動脈(胸の裏側を走行している血管ではずしても大丈夫)を主に用いています。これは長期的に安定しているからです。また胃大網動脈という胃の一部に血液を送る血管や、前腕部の動脈を用いて手術を行う場合もあります。しかし、現在でも患者さんの状態や病状によっては大伏在静脈を必要とする場合もあることもご理解ください。

図:冠動脈バイパス手術の模式図
   (内胸動脈、胃大網動脈と大伏在静脈を使用)


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